継続する錯覚と一瞬の幻想が、結婚の決め手だ。
2007年9月5日松崎香奈子:捜査第一課刑事エリート課長(妻)
松崎良雄:ヒラ刑事(夫)
(関係者から事情を聴き、良雄の所へ戻る)
「お待たせ」
「いや、…。なぁ、これって…所謂デート、ってヤツじゃない?」
「バーカ、捜査だよ。被害者の犯行前の行動を洗い流すんだって」
「でもさ、昼飯食って、アイス食べて、映画…明らかにデートじゃん?」
「足磨り減らしてなんぼの刑事でも腹が減っては戦は出来ぬ。アイスは美味そうだし、映画は見たんじゃなくて当日の店員に事情聴取しに行っただけ。この後は、焼肉か…大分消化されてきたし食うぞ」
「…経費で落ちるかなぁ…」
「何で?」
「いや…だって、課長が判押してくんなきゃ…。その課長は焼肉に目が眩んでるし…」
「理由に値する、書類提出しないとあたしは判を押さないよ」
「え!自腹?誰の?」
「アンタのよ。松崎」
「君も松崎だよ。ねぇ、香奈子…」
「下の名前で呼ばないで」
「に、睨む事ないだろう?夫なんだし…」
「そうね。あなたが夫なのもあと一週間だけよ。一週間後には、あたしとあなたは戸籍上なんの関係も持たない他人よ」
「そういう憚りのあることを公共の場で口にしないでくれよ…周りの視線が痛い…」
「あーあ。何でアンタと結婚したのかしら?あたしの歴史上最大で最悪の出来事ね」
「だって君が僕の申し入れを受けたから、結婚したんだよ」
「あの瞬間のあたしはきっと気が狂ってたのよ。何でこんな話ししてんだか…」
「不毛だね」
「あたしの思考読まないで」
「結構単純だもん、君」
「…。絶対判子なんて押さないわ。アンタのおごりよ、こうなったら食べまくってやる!行くぞ、松崎!」
「えー!また太るんだから……。…睨むなよ…」
「ああ、後ね」
「何…?」
「替えのワイシャツぐらいロッカーに入れときなさい。襟ヨレヨレで汚い。見っとも無い。不潔。目の下のクマが不気味。関係者に不審に思われると話も聞けないわ」
「仕方ないよ。検死解剖で分かったのはガイシャの犯行前の足取りと身元だけで、他にはなーんも分かってないし、他のみんなだって交友関係当たったり、犯行現場周辺の聞き込みで大忙しだし…。そんな中僕だけ悠長に着替えてなんてらんないよ、寝るのだって惜しいもの」
「唯一、犯人と思しき人物と接触してるのが目撃されたのが、この焼肉屋だけか。すみません、生一つとウーロン茶。あとタン塩、骨付きカルビ、トントロ、ナンコツ、中落ちカルビ。全部二人前ね」
「…はぁ…。自費かぁ…」
「だから、理由に値する書類を作成しなさいって言ってんのよ」
「僕にそんな器用なこと出来ると思う?」
「全く、一欠けらも、思わない」
「…はぁ…。ん……コレ…」
「ん、美味しい」
「違うって、香奈子。コレ、行方不明のガイシャの携帯じゃない?」
「あ?…何でこんなトコにあんのよ?忘れモンじゃないの?」
「違うって。ほら登録者の名前一緒だし!…ほらほら!」
「眼前に持ってこないで。見えるわよ。じゃガイシャが忘れたんでしょ。鑑識に回しといて」
「だってこんなシートの裏に隠すように入ってたんだよ!不自然だよ!…待てよ…そうか…」
「待たないわ。これはあたしの骨付きよ」
「違ーう!もう!香奈子って本当に単純なんだから!」
「目の前に焼く肉があったら焼いて食べるのが普通よ。アンタが食べないならあたしが食べるけどね」
「そうだよ!そうだ!…ガイシャは身の危険を察知して、この携帯を隠した…、ここには犯人と待ち合わせした場所だから、必ず捜査が入ると予測したんだな…うん。で、この後すぐ殺された…。着信履歴は…、犯行時刻の一時間前!ちょうど入店時刻に合致する…って事は…この浜木ってヤツが怪しい…」
「浜木ィ?ああ、ガイシャとの怨恨線で上がってるわ。犯行時刻にアリバイがあるんだけどさ、なぁんか怪しいのよね」
「偽装したアリバイ!」
「決め付けない。先入観は捜査に最も強大な壁になる」
「でも、」
「その浜木のアリバイ…徹底的に洗い直すよ」
「はい!」
「じゃ、出ようか…はー、食べた!」
「え、え?…えー!一人で食べたの?香奈子!」
「下で呼ぶな。本部に帰って全員召集をかける。仮眠取ってるヤツは叩き起こせ。外に出てるヤツも、だ。現在浜木は管轄下に置かれては居ない、至急浜木の現在所在を確かめ、任意で引っ張ってこい。まずは自宅だな…、もしかしたらどっかに逃げてるかもしれんな…。まずそう遠くはないはず…、行くなら愛人の所か…。浜木の事務所と自宅、愛人宅に捜査員を向けろ。あとクレジットカードの記録と銀行の引き落とし記録、遠出の可能性も捨てられない。多額の金が下ろされているようなら、私に知らせろ。すぐに礼状を出してやる、全国手配に踏み切るぞ」
「でも、アリバイが崩れた訳じゃないし…、正真正銘本当のアリバイだったら、冤罪で、大目玉ですよ」
「あのな、松崎」
「何でしょう…松崎課長…」
「私は、私の夫の無能さを嫌って程知っているんだ」
「…はぁ…そうでしょうね」
「反対に、訳の判らない所で発揮する宇宙人的な第六感の発揮性も嫌って程知っている」
「…褒められてるんですかね?」
「これ以上の言葉が欲しいなら浜木をしょっぴいてこいっ!」
「は、はいっ!」
忠犬的夫は宇宙人。(普段は紛うことなき無能)
スーパーエリートモードに突入すると、かっこよくなる妻。(普段は結構適当)
そんな感じでコンビ組んでたらおもろいな。
松崎良雄:ヒラ刑事(夫)
(関係者から事情を聴き、良雄の所へ戻る)
「お待たせ」
「いや、…。なぁ、これって…所謂デート、ってヤツじゃない?」
「バーカ、捜査だよ。被害者の犯行前の行動を洗い流すんだって」
「でもさ、昼飯食って、アイス食べて、映画…明らかにデートじゃん?」
「足磨り減らしてなんぼの刑事でも腹が減っては戦は出来ぬ。アイスは美味そうだし、映画は見たんじゃなくて当日の店員に事情聴取しに行っただけ。この後は、焼肉か…大分消化されてきたし食うぞ」
「…経費で落ちるかなぁ…」
「何で?」
「いや…だって、課長が判押してくんなきゃ…。その課長は焼肉に目が眩んでるし…」
「理由に値する、書類提出しないとあたしは判を押さないよ」
「え!自腹?誰の?」
「アンタのよ。松崎」
「君も松崎だよ。ねぇ、香奈子…」
「下の名前で呼ばないで」
「に、睨む事ないだろう?夫なんだし…」
「そうね。あなたが夫なのもあと一週間だけよ。一週間後には、あたしとあなたは戸籍上なんの関係も持たない他人よ」
「そういう憚りのあることを公共の場で口にしないでくれよ…周りの視線が痛い…」
「あーあ。何でアンタと結婚したのかしら?あたしの歴史上最大で最悪の出来事ね」
「だって君が僕の申し入れを受けたから、結婚したんだよ」
「あの瞬間のあたしはきっと気が狂ってたのよ。何でこんな話ししてんだか…」
「不毛だね」
「あたしの思考読まないで」
「結構単純だもん、君」
「…。絶対判子なんて押さないわ。アンタのおごりよ、こうなったら食べまくってやる!行くぞ、松崎!」
「えー!また太るんだから……。…睨むなよ…」
「ああ、後ね」
「何…?」
「替えのワイシャツぐらいロッカーに入れときなさい。襟ヨレヨレで汚い。見っとも無い。不潔。目の下のクマが不気味。関係者に不審に思われると話も聞けないわ」
「仕方ないよ。検死解剖で分かったのはガイシャの犯行前の足取りと身元だけで、他にはなーんも分かってないし、他のみんなだって交友関係当たったり、犯行現場周辺の聞き込みで大忙しだし…。そんな中僕だけ悠長に着替えてなんてらんないよ、寝るのだって惜しいもの」
「唯一、犯人と思しき人物と接触してるのが目撃されたのが、この焼肉屋だけか。すみません、生一つとウーロン茶。あとタン塩、骨付きカルビ、トントロ、ナンコツ、中落ちカルビ。全部二人前ね」
「…はぁ…。自費かぁ…」
「だから、理由に値する書類を作成しなさいって言ってんのよ」
「僕にそんな器用なこと出来ると思う?」
「全く、一欠けらも、思わない」
「…はぁ…。ん……コレ…」
「ん、美味しい」
「違うって、香奈子。コレ、行方不明のガイシャの携帯じゃない?」
「あ?…何でこんなトコにあんのよ?忘れモンじゃないの?」
「違うって。ほら登録者の名前一緒だし!…ほらほら!」
「眼前に持ってこないで。見えるわよ。じゃガイシャが忘れたんでしょ。鑑識に回しといて」
「だってこんなシートの裏に隠すように入ってたんだよ!不自然だよ!…待てよ…そうか…」
「待たないわ。これはあたしの骨付きよ」
「違ーう!もう!香奈子って本当に単純なんだから!」
「目の前に焼く肉があったら焼いて食べるのが普通よ。アンタが食べないならあたしが食べるけどね」
「そうだよ!そうだ!…ガイシャは身の危険を察知して、この携帯を隠した…、ここには犯人と待ち合わせした場所だから、必ず捜査が入ると予測したんだな…うん。で、この後すぐ殺された…。着信履歴は…、犯行時刻の一時間前!ちょうど入店時刻に合致する…って事は…この浜木ってヤツが怪しい…」
「浜木ィ?ああ、ガイシャとの怨恨線で上がってるわ。犯行時刻にアリバイがあるんだけどさ、なぁんか怪しいのよね」
「偽装したアリバイ!」
「決め付けない。先入観は捜査に最も強大な壁になる」
「でも、」
「その浜木のアリバイ…徹底的に洗い直すよ」
「はい!」
「じゃ、出ようか…はー、食べた!」
「え、え?…えー!一人で食べたの?香奈子!」
「下で呼ぶな。本部に帰って全員召集をかける。仮眠取ってるヤツは叩き起こせ。外に出てるヤツも、だ。現在浜木は管轄下に置かれては居ない、至急浜木の現在所在を確かめ、任意で引っ張ってこい。まずは自宅だな…、もしかしたらどっかに逃げてるかもしれんな…。まずそう遠くはないはず…、行くなら愛人の所か…。浜木の事務所と自宅、愛人宅に捜査員を向けろ。あとクレジットカードの記録と銀行の引き落とし記録、遠出の可能性も捨てられない。多額の金が下ろされているようなら、私に知らせろ。すぐに礼状を出してやる、全国手配に踏み切るぞ」
「でも、アリバイが崩れた訳じゃないし…、正真正銘本当のアリバイだったら、冤罪で、大目玉ですよ」
「あのな、松崎」
「何でしょう…松崎課長…」
「私は、私の夫の無能さを嫌って程知っているんだ」
「…はぁ…そうでしょうね」
「反対に、訳の判らない所で発揮する宇宙人的な第六感の発揮性も嫌って程知っている」
「…褒められてるんですかね?」
「これ以上の言葉が欲しいなら浜木をしょっぴいてこいっ!」
「は、はいっ!」
忠犬的夫は宇宙人。(普段は紛うことなき無能)
スーパーエリートモードに突入すると、かっこよくなる妻。(普段は結構適当)
そんな感じでコンビ組んでたらおもろいな。
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