探し物。

見つからない。

時間だけが足早に過ぎていく。

冷たいモルタル。

冷たい君の手。
 
 

君の手を引いて、
ゆけるなのらばどこまでも。

月影が闇夜を照らし、
闇とは光があってのもの。

 
常に冷たい視線があり、
僕は常に冷たい冷や汗を掻く。

 
探し物。

見つからずに、
一体どれだけの時間がたったのだろう。
 
 
 

冷たかった君の手は、
いつの間にか僕の体温で温められ、
生ぬるく、
なんとも人間臭いものを醸し出す。

 
髑髏の裏で行われるプラネタリウム。
いつの間にか星をなくし
コーヒーメーカーはコポコポと音を鳴らす。
いつの間にか音がなくなった。

モルタルの冷たさに一層手を強く握った。
 
 

探し物。

 
探してるうちに色々と拾いすぎたみたいだ。
片手しかあいていない僕の手には、たくさんのものが光っていた。
プラネタリウムの星さえ、コーヒーメーカーの音でさえも拾った僕は探し物を拾えずに、

 
 
愚かにも、 
 
 
 
 
君の手を、
 
 
 
 
 

手放した。
 
 
 
 
 
それは最後の光。
失って気付く――なんて、月並みな言葉。

次々と落ちてゆく探し物たち。
 
 
 
 
堕ちてゆく体温。
君の手のように、冷たくなる躯。
 
 
 
 
君の欠片を髑髏の裏に飾るよ。
幾千幾万をかけてすべて拾い上げる。
 
 
螺子のない人形は止まるだけ。
君の居ない僕もまた、止まる運命。

地層の中へと埋もれていく。
 
 
 

コーヒーは煮詰まった。

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