熟した柔らかな果実に歯を立てて溢れる果汁を啜りその果肉に歯形を刻め。
2005年6月22日探し物。
見つからない。
時間だけが足早に過ぎていく。
冷たいモルタル。
冷たい君の手。
君の手を引いて、
ゆけるなのらばどこまでも。
月影が闇夜を照らし、
闇とは光があってのもの。
常に冷たい視線があり、
僕は常に冷たい冷や汗を掻く。
探し物。
見つからずに、
一体どれだけの時間がたったのだろう。
冷たかった君の手は、
いつの間にか僕の体温で温められ、
生ぬるく、
なんとも人間臭いものを醸し出す。
髑髏の裏で行われるプラネタリウム。
いつの間にか星をなくし
コーヒーメーカーはコポコポと音を鳴らす。
いつの間にか音がなくなった。
モルタルの冷たさに一層手を強く握った。
探し物。
探してるうちに色々と拾いすぎたみたいだ。
片手しかあいていない僕の手には、たくさんのものが光っていた。
プラネタリウムの星さえ、コーヒーメーカーの音でさえも拾った僕は探し物を拾えずに、
愚かにも、
君の手を、
手放した。
それは最後の光。
失って気付く――なんて、月並みな言葉。
次々と落ちてゆく探し物たち。
堕ちてゆく体温。
君の手のように、冷たくなる躯。
君の欠片を髑髏の裏に飾るよ。
幾千幾万をかけてすべて拾い上げる。
螺子のない人形は止まるだけ。
君の居ない僕もまた、止まる運命。
地層の中へと埋もれていく。
コーヒーは煮詰まった。
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