指に染み付く臭い。

深く吸い込めば微かな苦味と共に、煙が、這入ってくる。

ゆったりと肺を犯しながら、形状をかえ体外に排泄せれる。

 
 
 

それは愛にも似た、優しいモノ。

 

鳴り止まぬ愛の慟哭を、鼓膜から脳へと刻み込み、心臓へ送り込む。
けして体外に排泄され事はないが、それは煙のように形状をかえ、存在を刻み続ける。

 
 
煙は肺を犯すことでその存在を刻み付ける。
愛は無慈悲な慟哭を刻み続ける。

 

 
それらに何ら変わりはない。
 
場所は違えど、行為は同じ。
 
 
 
 

吐き出した煙。
立ち上りる煙。

 
 
「愛しているよ」

 
 
嗚呼、

 
 
その存在は妾に鳴り止まぬ慟哭を放ち続ける。
 
 

 

 

 
 
 
愛にも似たソレは、僅か1分の命と共に潰された。
残されたのは、灰ばかり。 

 
 
 

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